著作と書誌情報の構造

http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/haul/wp-content/uploads/2015/04/091204watanabe.pdf の付録(最後のほう)に図書館情報学の基本概念の解説がある。

著作〈written work〉に関して、4つの存在形態がある。

  1. 著作〈Work〉 例:源氏物語
  2. 表現形〈Expression〉 例:源氏物語の{原テキストA、原テキストB、現代語訳A、現代語訳B、英語訳}
  3. 体現形〈Manifestation〉例:源氏物語の原テキストAの{影印版、翻刻版}、源氏物語の現代語訳Bの{単行本、文庫版、朗読CD}
  4. 個別資料〈Item〉: 源氏物語の現代語訳Bの{単行本}を渋谷区図書館が2冊所蔵している。

図書館の書誌レコードは、体現形を記述するレコード。体現形のフィールドである著者に関して、著者名典拠レコードというレコードを持つ。表現形を表すレコードを持って、体現形レコードからポインターを持たせることは可能だろう。

表現型を表すレコードのあいだで「同一作品である〉旨の相互参照〈同値関係 | equiv〉を入れることもできる。それにより、抽象的・概念的「作品」を同定できる。

ところで、抽象的・概念的な著作はタイトル〈title | 作品〉、個別資料はインスタンスまたはコピーと呼んだほうが分かりやすい。

図書館のカードが書誌レコードだが、独特の用語法がある。

  • 標目: キーとなるフィールドとフィールド値のこと。
  • 書誌記述: メタデータ
  • 所在記号: おそらく、実際の本〈インスタンス〉の在り処〈ロケーションアドレス〉を表す記号
  • 標目指示: タグ/キーワードだと思ってよい。

複数の図書館がネットワークしている場合は、著作の体現形のレコードとは別に、体現形またはインスタンスがどの図書館のどの場所〈書架〉にあるかの所蔵レコードを持って、インスタンスの検索を可能としている。