テンソル用語法

従来・伝統的
スカラー スカラー要素 + スカラー
ベクトル ベクトル要素 + ベクトル射
テンソル(1) 多行列
- テンソル = テンソル
テンソル(2) {型}?…のベクトル
- 基本空間
- リテラル空間
反変ベクトル リテラル空間のベクトル
共変ベクトル リテラル空間のベクトル

注意すべき点は:

  1. ベクトルは、ベクトル空間の要素とは限らない。
  2. テンソルは、テンソル空間の要素ではない。
  3. コベクトルは、線形形式ではない。
  4. ベクトルは、余線形形式ではない。
  5. 双対空間は、線形形式の空間とは限らない。
  6. テンソルは、インデックス族ではない。
  7. 多行列の成分は、スカラーとは限らない。
  8. スカラー成分の2階多行列は、線形写像の表現とは限らない。

論理とテンソル計算

用語:

対応:

テンソル計算 論理
アトム空間 アトム
リテラル空間 リテラル
リテラル空間 リテラル
テンソル 連言
ベクトル空間 命題、論理式
テンソル空間の型 論理式リスト
テンソルプロファイル シーケント
テンソルプロファイル変形 シーケント推論・証明

インデックスなら:

インデックス計算 論理
アトム・インデックス集合) アトム
リテラル・インデックス集合 リテラル
リテラル・インデックス集合 リテラル
直積 連言
複合インデックス集合 命題、論理式
インデックス集合のリスト 論理式リスト
インデックスプロファイル シーケント
インデックスプロファイル変形 シーケント推論・証明

テンソル計算の対象物は:

特殊テンソル

  1. スカラー
  2. ベクトル
  3. コベクトル
  4. 形式
  5. 余形式

多線形代数

結局、スパイダーの絵にキチンと対応する多線形代数 -- 多圏ベースの線形代数を作らないとダメなんだと思う。

線形代数における行列として多行列〈polymatrix〉を定義して、多行列の計算体系が多圏のなかでどう解釈されるかを明示しないと曖昧さは解消しないだろう。

線形代数における多射=スパイダーとその結合をちゃんと定義すべし。

恐るべし! 基底

ベクトル空間に基底を取ると:

  1. 勝手に内積が入ってしまう。(内積空間の圏への標準的関手がある)
  2. 基底付き空間の圏はデカルト圏になってしまう。(標準的デカルト構造がある)
  3. 双対反変関手を厳密対合にできてしまう。

テンソル計算は、これらの基底の能力を無意識に使ってしまっている。無意識だからワケワカランに繋がる。有限次元ベクトル空間のモノイド圏とは異なった圏を人為的に構成し、そこで計算しているから、もとのモノイド圏とは別なズレた計算になるのだ。

パレス、使える!

いったん気付いてしまうと、これは使える感じ。非関手/非自然変換の手法と相性がいい。圏論的モダリティも、パレスを作る手法と解釈できる。

テンソル計算では、次のようなパレスが使える。

  1. 複線形写像のクローンの多圏
  2. 複線形写像の複圏
  3. 線形写像の圏

この例では、多圏、複圏、圏と積み上げる構造だし、それに自由ベクトル空間の多圏、複圏、圏を埋め込んでいたりする。ハイブリッドな複雑大規模な構造を定式化するには、パレスが必要だ。

添字構造

添字構造〈index structure〉とは、

  • Xは有限集合の集合である。
  • D:XX写像である。
  • For I∈X, dI:I→D(1) は写像の族である。

次の条件を満たす。

  1. Xは、空集合を含む。
  2. Xは、少なくとも1個の単元集合を含む。
  3. I, J∈X ならば、I×J∈X
  4. I(∅) = ∅
  5. I∩D(I) = ∅
  6. dI全単射 [追記]対蹠写像と呼ぶ。[/追記]

以上で添字構造は定義終わり。

A∈X がアトミックだとは、

  1. Aは空ではない。
  2. Aは、X内の2つの集合の直積で書けない。

YX が添字構造の生成系だとは、

  • ∅とYの要素から、直積とDでXが構成できる。

添字構造が対合的だとは、

  • D(D(I)) = I が成立すること。

有限個のアトムから再生され、対合的な添字構造を、対合的有限生成添字構造と呼ぶ(まんま)

対合的有限生成添字構造から、ベクトル空間の圏への写像で、Dとdを保存するものを考えると、それがテンソル計算のセッティングになる。

{スカウテン | スハウテン}宣言

ダイレクトインデキシングを使うときは、

  • index i, j, k∈I basis-of A
  • index a, b∈J basis-of B

このインデックス宣言〈{スカウテン | スハウテン}宣言〉のもとで、xi,ja,k,b と書くと、テンソルxの型は、添字を下から上に読んで

  • B,A,B → A, A

だとわかる。書き方を変えると

  • A,A / B,A,B

これらの意味は:

  1. x:B\otimesA\otimesB→A\otimesA 射解釈
  2. x∈[B\otimesA\otimesB, A\otimesA] 内部ホム解釈
  3. x∈(A\otimesA) \otimes (B*\otimesA*\otimesB*) 標準解釈
  4. 他にネルソン解釈がある。

インダイレクトインデキシングのときは、

  • index i, j, k∈I frame F of A
  • index a, b∈J frame G of B

微分幾何の例では、

  • index i, j, k∈1..n frame ∂x of V
  • index a, b∈1..n frame (∂x) of W(W = V*

◇は、コンパニオンコフレームを対応させる写像。これにより次が意味を持つ。

  •  {}_{\partial x} [{}^i] ,\: {}_{\partial x} [{}_i]

フレームとコフレームがコンパニオン関係であることから

  •   {}_{\partial x} [{}^i] = {}_{({\partial x})^\diamond} [{}_i] = dx^i

宣言は次がいいかも。

  • index i, j, k in I is-basis-of A
  • index i, j, k in I via F is-frame-of A

中間を省略すると

  • index i, j, k in basis-of A
  • index i, j, k in I via frame-of A
  • index i, j, k in frame-of A

{スカウテン | スハウテン}記法は、添字で座標を識別するが、座標とフレームはほぼ同じ。フレームごとに添字を予約するのはスハウテン流。

n段のパレス

圏の列 C0, ..., Cn-1 と、包含忘却関手 Jk:CkCk-1n段のパレス〈n-stage palace〉と呼ぶ。

ヤコビ微分圏の下部構造である半加法芯付きデカルト圏は、2段のパレスで、第0段(stage 0)がデカルト圏で、第1段が半加法圏であるもの。

1段のパレスは単なる圏。3段以上のパレスもあるだろう。

次のパレスが使える。

  • 第0段の圏はベクトル空間の圏
  • 第1段の圏はRn達に標準内積を入れた内積空間の圏

パレスは、部分的に定義された圏論的モダリティが重なったものである。

[追記]パレスは建物と考えて、n-story palace と呼び、それぞれの階は 1st floor, 2nd floor, ... がいいかも知れない。[/追記]

随伴と双対

随伴 双対 別名
左随伴関手 左双対空間 プライマル空間
右随伴関手 右双対空間 パートナー空間
単位自然変換 コペアリング 余評価射
余単位自然変換 ペアリング {右}?評価射
反ペアリング 左評価射
自然変換のメイト 射の双対
同型射のコンパニオン 双対の逆の内積変換Шプレ結合

Vが内積ベクトル空間のとき、ШX:V→V*内積による同型。

ゲルファンド対応もっと: フレームと余座標など

ゲルファンド対応:

特別 一般
ゲルファンド対応 ベクトル←→余形式 フレーム ←→ 余座標
コード対応 コベクトル←→形式 コフレーム ←→ 座標

さらに、フレームとコフレームのあいだにはコンパニオン対応がある。

  1. フレーム(プライマル) ←→ コフレーム(コンパニオン)
  2. フレームベクトル ←→ コフレームコベクトル

また:

  1. フレームはスパニング写像=パラメータ表示写像を定義する。
  2. コフレームは測定写像=座標写像を定義する。
  3. フレームはコンパニオンコフレームを定義する。
  4. フレームはコンパニオンコフレームを経由して、座標を定義する。

用語:

  1. ベクトル
  2. コベクトル
  3. フレーム
  4. コフレーム
  5. 座標
  6. 余座標
  7. フレームのベクトル
  8. コフレームのコベクトル
  9. 座標の形式
  10. 余座標の余形式
  11. 形式のコベクトル(コード化)/コベクトルの形式(反コード化)
  12. ベクトルの余形式(ゲルファンド化)/余形式のベクトル(反ゲルファンド化)

参考: コンパクト閉圏と絵算で理解する線形代数とシーケント計算(入り口だけ) - 檜山正幸のキマイラ飼育記 (はてなBlog)

  1. コード化はネーム化、反ゲルファンド化はコネーム化か?
  2. いずれにしても、ネーム化と反ネーム化、コネーム化と反コネーム化がある。

これは!? ゲルファンド変換の分析

ゲルファンド変換は複数あったようだ。これは、意外に大発見かもしれない。

 v  :R →V ベクトル
 ----------------------------- ゲルファンド化
 v^ :V*→R 双対空間の形式


  a :V*→R 双対空間の形式
 ------------------------------ 反ゲルファンド化
  `a: R→V ベクトル


  f : V → R 形式
 ------------------------------- コード化(エンコード)
  f': R → V* 双対空間のベクトル


  f : R → V* 双対空間のベクトル
 ------------------------------- 反コード化(デコード)
  f : V → R 形式


  v  :R →V ベクトル Ж : V→V** ゲルファンド変換
 ------------------------------------ ゲルファンド変換前送り
  v^' : R → V** 二重双対空間のベクトル

キモは、ベクトル/コベクトル/形式/余形式の区別。

  • vが型Vのベクトル ⇔ v:R→V
  • wが型Vのコベクトル ⇔ w:R→V*
  • fが型Vの形式 ⇔ a:V→R
  • αが型Vの余形式 ⇔ α:V*→R

さらに

  • ゲルファンド対応: Vのベクトル←→Vの余形式 (圏論コンビネータ
  • コード対応: Vの形式←→Vのコベクトル (圏論コンビネータ
  • ゲルファンド変換 ЖV:V→V** in C (内部の射)

随伴系/メイトの理論とも比較せよ!

[追記]ЖVで表されるゲルファンド変換(同型射) ЖV:V→V** と、圏論コンビネータであるゲルファンド化と反ゲルファンド化があり、区別する必要がある。

  • ゲルファンド化 (-)#: C(R, V) → C(V*, R)
  • 反ゲルファンド化 (-): C(V*, R) → C(R, V)

ゲルファンド変換は、圏C内の同型射、ゲルファンド化/反ゲルファンド化はホムセット間の写像であるコンビネータ

この違いが曖昧だった。この違いは本質的!
[/追記]