雑音構造付き圏と雑音入り圏

雑音と誤差は同義語。雑音構造付き圏〈category with noise structure | 誤差構造付き圏〉とは、(C, Adm, Noi) でって、

  • Cはマルコフ圏
  • AdmはCdet広い部分圏
  • Noiはモノイド・モダリティで、Noi(X)⊆EndC(X) であるもの。

公理:

f:X→Y in Adm, α∈Noi(X) に対して次の可換図式を満たす β∈Noi(Y) が一意に存在する。

\require{AMScd}
\begin{CD}
X            @>{f}>> Y \\
@V{\alpha}VV         @VV{\beta}V \\
X            @>{f}>> Y
\end{CD}

βを、fによるαの転送〈transfer〉と呼び、β = f*(α) と書く。

次の命題は必要か? 現状分からない。

用語:

  • Admに属する射を許容射〈admissible morphism〉と呼ぶ。
  • Noi(X) を、X上の雑音モノイド〈noise monoid〉と呼ぶ。
  • Noi(X) の要素(Cの自己射)を雑音{場}?〈noise {field}?〉と呼ぶ。

(C, Adm, Noi) が雑音構造付き圏のとき、雑音入り圏〈noized category〉NOI(C, Adm, Noi) を次のように作る。

  • 対象はCと同じ。
  • 射は、f:X→Y in Adm と β∈Noi(Y) のペア (f, β)
  • 結合は、(f, β);(g, γ) := (f;g, g*(β);γ)
  • 恒等射は、(idX, idX)

NOI(C, Adm, Noi)→C という自然な関手がある。

パラメトリック

パラメトリック雑音構造付き圏〈category with parametric noise structure | パラメトリック誤差構造付き圏〉とは、(C, Adm, Noi) とは、

  1. 対象ペア X, Y ごとに角付き多様体 Δ(X, Y) が決まっている。
  2. パラメトライズ aX,Y:Δ(X, Y)→Adm(X, Y) が決まっている。
  3. 許容射の結合は、Δ(X, Y)×Δ(Y, Z)→Δ(X, Z) という多様体射で表現できる。
  4. 対象Xごとに角付き多様体 Θ(X) が決まっている。
  5. パラメトライズ nX:Θ(X)→Noi(X) が決まっている。
  6. 雑音の結合は、Θ(X)×Θ(X)→Θ(X) という多様体射で表現できる。
  7. 許容射による雑音の転送は、Θ(X)×Δ(X, Y)→Θ(Y) という多様体射で表現できる。

共役事前分布という概念は、パラメトリック条件(多様体射での表現可能性)と関係する。

具体例
  1. アフィン・ガウス雑音入り圏:対象はアフィン空間、許容射はアフィン線形写像、雑音はガウス分布場。
  2. ユークリッド・アフィン・ガウス雑音入り圏:対象はアフィン空間とみなしたユークリッド空間 Rn