指標とモデルとインスタンス

指標からアンビエント圏への関手をモデルまたはインスタンス(ときに代数)と呼ぶが、固定する心づもりのときはモデル、動かすときはインスタンスと呼ぶことにする。

ドメイン指標は、ドメイン名と f:d1, ..., dn→c (nは1以上)の形のドメイン間関数名の集まりとする。ドメインモデルは、ドメイン指標から集合圏への関手で、固定する。

ドメインモデル D:Δ→Set 上に、ER指標を作る。ER指標は、Δに含まれるドメイン名をすべて含み、他に実体名を含む。これで、対象記号はすべて構成できる。射記号として、基本関係記号をいくつか入れる。注意すべきは、実体記号eに対して、必ず1つの 1→e の関係記号を入れて、これを r_e と書く。eとr_eで、母集合と現状の2つを表す。

ER指標Σのなかで、eへの母集合の割り当てと、eのキー写像 〚keye〛:〚e〛→〚K〛 の割り当てを実体モデルと呼ぶ。モデルなのでこれも固定する。

ドメインモデルと実体モデルがあると、Σの対象記号にはすべて集合を割り当てることができる。固定したドメイン・実体モデルに対して、Σの射記号への関係の割り当てをERインスタンスと呼ぶ。インスタンスなので変更する気満々。

制約を2-射と考えて、インスタンスは2-関手と考える。2関手のあいだの1-変換手をミューテーションと呼んでいる。ミューテーションは、2-射を2-射に移すので、制約が遵守〈observance〉されている。制約の遵守条件が1-変換手性になっている。

今まで出てきた概念は:

  1. ドメイン指標とドメインモデル
  2. ドメインモデル上での実体指標と実体モデル
  3. 実体モデル上でのER指標。
  4. ER指標のインスタンス
  5. 2-射としての制約と、制約遵守なミューテーションとしての1-変換手。

ER圏を適切に定義すれば、ER圏のなかでテーブル構造(テーブル代数)を定義できる。Cのテーブル代数を Tbl(C) とする。

ドメイン・実体モデルE上のER指標Σに対するテーブル設計とは、テーブル代数の指標Ψと、テーブル代数指標射 ψ:Ψ→Tbl(C) のこと。テーブル代数指標射ψは、テーブル代数の準同型写像に拡張できる。この準同型写像の議論により、設計の良し悪しが議論できる。

主たる論点は、準同型写像が生成的であるか、忠実であるかなど。