セオリーの定式化

線形代数 セオリー論 事例1:遷移系 事例2:階層構造
基底 指標 集合=アルファベット 単純DAG=ハッセ図
基底の要素 記号セル 要素=文字 アロー、辺
線形結合 コンビネーション 文字列=ストリング パス
自由ベクトル空間 セオリー 自由モノイド 自由やせた圏
(無し) モデル 遷移系〈プレオートマトン 集合の階層構造
  • ローヴェアの元祖セオリー論では、セオリーとモデル〈代数〉しか登場しない。
  • ほとんどのセオリー論では、指標も使う。バーワイズ → ゴグエン/バーストル の系譜。
  • 他の「セオリー」と特に区別したいときは、「ローヴェアの意味のセオリー〈theory in the sense of Lawvere〉」、「ローヴェア{流 | 風}セオリー〈theory à la Lawvere | Lawvere-style theory〉」と言う。
  • 同様に、「代数」も「ローヴェアの意味の代数〈algebra in the sense of Lawvere〉」、「ローヴェア{流 | 風}代数〈algebra à la Lawvere | Lawvere-style algebra〉」と言う。
  • モデルはターゲット圏ごとに変わるが、まずは集合圏モデル=標準モデルを考える。

ローヴェアのオリジナルとは違うが、指標を使うセオリー論を展開する。人名で形容するなら、バーワイズ/ローヴェア・セオリー論かな。

  • Jon Barwise (John ではない)
  • William Lawvere
  • Joseph Goguen, Rod Burstall

セオリー論のフレームワーク

  • S ⊆ S' ←→ C → CAT 0Set

説明:

  1. S : 指標の圏
  2. S' : 拡張指標の圏
  3. ←→ : 随伴関係
  4. C :ドクトリン的圏〈doctrinal category〉:ドクトリンに支配される圏=“圏の圏”とみなせる圏
  5. → : ドクトリン的圏の構造関手/解釈関手/忘却関手 ドクトリン的圏を実際に“圏の圏”とみなす働き
  6. 0∋、∈0 : 対象として所属する

補足と注意:

  1. とりあえずは、「ドクトリンとは何か?」とは考えない。「ドクトリン的圏」の定義だけ注目して、構造関手〈解釈関手 | 忘却関手〉をドクトリン的圏の一部と考える。
  2. セオリー=随伴の右圏であるドクトリン的圏の自由対象
  3. セオリーの圏は、随伴の右圏であるドクトリン的圏の部分圏

用語解釈の注意: 人間は本能的に自然言語で考えようとする。本能を抑えるトレーニングが必要。言い換えると、well-trained person になる必要がある。

  1. 国語辞書的に、癖が強く扇情的・刺激的な強い言葉でも、ドライに形式的定義だけで理解する。(覚悟・心構えとして)
  2. 用語の一貫性・整合性・統一性はまったくない(ルールがない)ので、ルールを期待せず個別に暗記する。(覚悟・心構えとして)
  3. 用語は、セッティング/文脈のなかで意味を持つ。セッティング/文脈から切り離しては解釈不可能。
  4. 実体を意味しない用語がある。所属組織と肩書き〈役割 | 機能性〉に命名する。実体を問題にしないことは非常に多い。
  5. ひとつの概念に対して、色々なセッティング/文脈/観点により、色々な呼び名がある。
  6. ひとつの概念に対して、歴史的・社会的経緯から、多数の同義語がある。
  7. ひとつの語・記号に対して、複数の異なる意味がある。オーバーロードとコンフリクト。
  8. 「形容詞+名詞」が有意でも、形容詞単体、名詞単体では無意味〈解釈不能〉なときがある。
  9. 名詞が形容詞化しているとき、もとの名詞の意味が失われていることがある。失われていなくても言及しないことがある。