符号理論の基本の定義がダメだった

符号〈コード〉の定義がダメだった。Qをアルファベットとして、Qnの部分集合をコードと定義しているが、実際はそれじゃダメだ。

Qk, Qn, g:Qk→Qn の3つ組がブロック符号系だとは:

のとき。この構造の役割名は:

  • Qk を情報空間
  • Qn をブロック空間
  • gを生成子〈ジェネレーター〉
  • 像 g(Qn) ⊆ Qn を語空間
  • 語空間の補集合を非語空間(これ重要)

ブロック符号系のあいだの準同型射は、

  • σ:Qk→Qk は置換
  • f:Qn→Qn' は任意の写像

のとき、(Qk, Qn, g) から (Qk, Qn', g') への射となる。ただし、σ, f, g, g' は可換図式になる。同型射と符号系の同型はこれから定義できる。符号系の同型類を考える場合もある。

定義や命題が個別符号系に対するものか、符号系の同型類に対するものかが曖昧になっている。システマティック符号系の定義は、同型類ではなくて、個別の符号系の話で、同型では保存されない性質になる。

符号系の定義で出てくるQを体、Qnを有限次元ベクトル空間、写像はすべて線形としたとき、線形ブロック符号系、あるいは線形符号系となる。線形符号系での同型では、最小距離が保存されることも証明を要する。証明できれば、最小距離は同型不変量となり、同型類に一意な値となる。

双対符号系の概念も、(Qk, Qn, g) と (Qn-k, Qn, h) の双対性として定義しないとわけが分からない。

ところで、座標〈座標位置〉を、情報位置〈information position〉と冗長位置〈{remaining | parity} position〉に分類・分離できるかがしばしば話題になる。

MDS〈max distance separable〉符号の定義に関連して、すべてのk次元射影が情報射影(情報セット)になっているという定義が出てくる。k次元射影は、基底(フレーム)に依存するので、同型類ではなくて個別の符号系の話。

  • n次元からk次元への座標射影が情報射影だとは、生成子が射影のセクションとなっていること。(おそらく、だいたいは)

すべてのk次元射影が情報射影であるような符号系が分離的か? 定義がハッキリしないので何とも言えないが。ともかくも、リード/ソロモン符号は、すべてのk次元射影が情報射影になっている。

「システマティック位置」というのも、k個の位置から決まる射影に関する概念で、射影がある種のセクションを持つかどうかの話。特有の用語法と、特有の概念構成をしているので分かりにくい。

符号系の場合、座標=フレーム=基底を固定した議論がけっこうあるから、座標依存性をよく考える必要がある。もう一度、定義から見返さないと。