圏内の構造、具象n-圏、増強など

「A構造を持つ圏内でB構造を定義できる」状況がある。例えば、デカルト構造を持つ圏=デカルト圏内で、モノイド構造=モノイド対象を定義できる、とか。

このときのA構造は圏がもつべき構造なので、Aメタ構造、またはA-2-構造となる。A-2-構造を持つ圏全体は2-圏をなす。このようにして2-圏が作られるが、圏の圏であるので、単なる2-圏=抽象2-圏とは違う。

n-圏Cが、具象n-圏であるとは、その対象がすべて(n-1)圏であること。例えば、具象2-圏は、対象が1-圏なので「圏の圏」。具象3-圏は対象が2-圏なので「2-圏の圏」。具象n-圏は、抽象n-圏よりはるかに強い構造を持つ。

n-セオリーは、構造付き(n-1)-圏からなる具象n-圏を定義するものだと言っていい。1-セオリーは、構造付き0-圏からなる具象1-圏を定義し、2-セオリー〈ドクトリン〉は、構造付き1-圏からなる具象2-圏を定義する。3-セオリーは、構造付き2-圏からなる3-圏を定義する。などなど。

n-セオリーは、(n-1)-圏(の族)に構造を付与するn-指標を持つ。構造付き(n-1)-圏からなる具象n-圏を定義するものだと言っていい。1-指標は、0-圏に構造を与える。2-指標は、1-圏に構造を与える。3-指標は2-圏に構造を与える。などなど。


それと、次の概念がある。

  1. 構成子
  2. オペレータ/コンビネータ
  3. モダリティ
  4. 増強

Cから圏Dへの構成子〈constructor〉とは、

  • c:|C|→|D|

という写像。一般には、

  • c:|C|→|D|k

c, dが、CDの構成子のとき、コンビネータ ψ:c⇒d とは、

  • ψA:c(A)→d(A) in D

コンビネータD = Set で、C = Bn のときが多い。

  • For A∈|B|n, ψA::c(A)→d(A) in Set

構成子は関手ではなく、コンビネータは自然変換ではない。が、使う場面は多い。

モダリティは、圏の対象に構造を割り当てる対応。構造の種類により、モノイド・モダリティ、ベクトル空間モダリティ、可換環モダリティなどという。モダリティの定義域は、対象類の部分類。

構造Sのモダリティが定義されていて、対象Aがモダリティの定義域に入っているとき、AはS対象と呼ぶ。SモダリティとS対象は似た概念である。

圏のホムセットがある構造Sを持つとき、S増強されている〈S-enhanced〉という。すべてのホムセットがS-増強されているとき、S-増強圏と呼ぶ。豊饒圏ではない。部分圏だけS増強されていることも多い。

微分圏では、部分圏が加群や半加群として増強されているケースを扱う。