フーリエ解析の背後にある双対性は、リー群よりも広い範囲の位相群(局所コンパクト・ハウスドルフな可換群)で成立するポントリャーギン双対性らしい。双対ペアは、(S1, Z), (R, R)。
ペアの片方がもう一方の双対群になっているが、Gの双対群をG∨とする。普通は、上にハットかもしれない。
線形代数の双対と同じように双対化対象〈dualizing object〉があり、双対のペアリング(線形代数では双線型形式)がある。アーベル群の場合の双対化対象は S1 = U(1) ⊆ C。Cの乗法部分群と考えるので、双対化対象の要素をzと書く場合が多い(ただし、|z| = 1)。
双対のペアリング:
- S1×Z∋(z, n) \(\mapsto\) zn ∈S1 ⊆ C
- R×R∋(t, ω) \(\mapsto \) \(e^{\sqrt{-1}\omega t} \) ∈S1
ペアリングは双線形形式と同様に、双乗法的な準同型になっている。可換群なので、双線形と同じ形になる(スカラー倍はないが)。
フーリエ変換の一般的な形は、指標 \(\rho \in G^{\lor} \) に対して
- \( \hat{f}(\rho) = \int_{x\in G} f(x)\overline{\rho(x)}\mu(dx) \)
指標とのエルミート内積を取るので、複素共役が付いている点に注意。ρはスペクトル空間の点と考えてよいので、フーリエ変換像 \(\hat{f}\) は原関数fのスペクトル分布を与える。スペクトル点と双対群の元は同一視され、それは指標でもある。スペクトル点=双対群元=指標=G上の準同型関数。
局所コンパクトハウスドルフ可換群の圏では、双対化対象S1とそれを含むベクトル空間/可換代数Cを軸にして、箱庭的にまとまった世界を構成する。が、非可換群になると話が難しくなって、ポントリャーギン双対性では済まなくなるようだ。位相群論で閉じた双対性が、圏論とホップ代数とかも使う必要が出てくる、難しいな。