定数と定常
ベクトルバンドルの加群層 M over A があるとする。d:A→Ω が基礎微分系で、∇は、M上の共変微分とする。∇:M→MΩ。Mの要素=セクションが∇定常とは、∇s = 0 であること。
定常性〈stationarity〉は∇を使って定義できるが、定数性〈constantness〉は∇では定義できない。単位付き相対代数のバンドルならば、1に基礎代数の元を掛けたものは定数と呼んでよい。A/R-相対微分の定義は、「定数は定常である」と言っていることになる。
逆は成立しないが、定数なら定常となるので、定常/定数 としてコホモロジーができる。このコホモロジーは接続の性質を表している。
ケーラー微分
AがR上の相対可換環だとする -- これは、r∈R に対する 1・r として、R→A という環準同型射があること。AはR上の環だともいい A/R とも書く。
MがA加群だとする(もちろん、R加群になっている)、このときMはA/R-加群だともいう。d:A→M がA/R-微分だとは:
- R-線形
- Aの積に関してライプニッツ
A/R-加群MとA/R-微分dの組をA/R-微分系と呼ぶことにする。マリオスの用語なら微分三組。
(M, dM), (N, dN) が2つのA/R-微分系のとき、微分系のあいだの準同型射は、f:M→N で微分と交換するもの。A/R-微分系の圏を A/R-Diff とする。A/R-Diff に始対象があれば、それを A/R-ケーラー微分系と呼ぶ。
ケーラー微分系は、存在するならup-to-isoで一意なのは定義から明らか。この明白な一意性がケーラー微分系のいいところ。存在を示すには実際に構成するしかないが。
A上のR-導分の全体を DerR(A) として、そのA-双対加群を ΩA/R とすると、具体的に構成した ΩA/R がケーラー微分系であることを示せると思う。
正則〈非特異〉なバンドル射と多様体射
ベクトルバンドル射 f:ξ→η (f:Base(ξ)→Base(η))が正則とは、すべての点でファイバー射 fp:Fib(ξ, p)→Fib(η, f(p)) が最大ランクなこと。
多様体射 f:M→N が正則とは、その接写像 Tf:TM→TN がバンドル射として正則なこと。
正則な射は、バンドルの圏と多様体の圏で部分圏を作る。Bundlereg, Manreg。
ときに、バンドルの正則の意味を、ファイバー射のファイバーベクトル空間が同じ次元で正則=可逆線形写像がであることだとする。広義の正則は、可逆ファイバー射を含んでいる。バンドル圏の同型射は、正則可逆射。
代数的テイラー展開と微分基底
体KとK-可換環Aの組を A/K と表す。AのイデアルJと、n個の要素 {x1, ..., xn} に関する、fの代数的テイラー展開〈algebraic Taylor expansion〉とは、
- f = a01 + Σaix1 + Σgixi
- ai∈K, xi, gi∈J
任意のAの要素が代数的テイラー展開を持つとき、イデアルJと {x1, ..., xn} を{代数的}?微分基底〈{algebraic}? differential basis〉と呼ぶ。
微分基底の概念を層論とマッチさせれば、微分形式の層が構成できると思うのだが。計算手段としてはヤコビ計算〈Jacobian calculus〉になりそう。
点導分〈point derivation〉を使えば、一点での接空間をうまく定義できるが、ファイバーがパランパランに得られるだけで、バンドルにならない。バンドルにするには、自明化近傍またはストリップに対する代数化が必要。これは局所自明加群でいいのだが、局所構造からストークを作って、有限次元ベクトル空間を絞り出さなくてはならない。このとき、エタール空間が使えるのか?
導分の前送り
UをRnの開集合として、C∞(U) の導分〈derivation〉=代数的微分演算子を考えることができる。導分が、C∞(U)→C∞(U) または C∞(U)→C∞(V) (V⊆U)のときは、領域導分〈region derivation〉、C∞(U)→R のときは点導分〈point derivation〉と呼ぶ。導分の結果が、「導関数か微分係数か」の違いがある。
C∞(U)上の領域導分が、一点評価射 eva:C∞(U)→R により前送りされて、点導分になる。この状況を一般化すると、次の事実が得られる。
For
- (X:A/R→A) in-0 Der[A/R]
- ε:A→B in R-Rng
Holds
- (X;ε:A→B in R-Mod) can-be in-0 Der[A/R]
End
説明する。