曲DG加群 -- 曲率の代数構造

「非可換」は「可換ではない」じゃなくて「可換性を仮定しない」という意味。Kは体。階付き{外}?微分〈graded {exterior}? {derivative | differential}〉は平方零性を持つ微分のこと。平方零性をはずした微分階付き半微分〈graded {semiderivative | semidifferential}〉と呼ぶ。半微分であってもライプニッツ法則は満たす。

Aが、階付き掛け算を持った階付き非可換K-{結合的}?代数であって、掛け算に対して階付きライプニッツ法則を満たす階付き半微分 d を備えているとする。交換子積でK-リー代数になるから、Aのリー代数構造も一緒に考える。

微分階付き{非可換}?代数〈semidifferential graded {non-commutative}? algebra | sDGA〉が、次を満たすとき微分階付き代数〈curved differential algebra〉と呼ぶ。

  • 2次の元 h があって、d2(-) = dd = [h, -]

2次の(階数2の)斉次元 h を曲率元〈curvature element〉と呼ぶ。h = 0 の曲DGAはDGAである。d2 の肩の2が次数なのか累乗なのか非常に紛らわしい、注意!

Mは階付きK-ベクトル空間であり、半微分階付き非可換代数Aの階付き左スカラー倍を持っているとする。つまり、Mは階付きA-左加群。次数1の作用素 δ:M→M があり、Aの左作用〈左スカラー倍〉に対してライプニッツ法則を満たすとき、δをA-加群微分{作用素}?〈semi-differential operator〉と呼ぶ。

作用素」に関しては 作用素、テンソル作用素、微分作用素 - (新) 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編

Mが曲DG代数Aの左加群であり、半微分δを持っていて、δ2(-) = δδ = h・- (・は左スカラー倍)を満たすとき、MをA-曲左加群〈left curved A-module | 左曲A-加群〉と呼ぶ。右加群も同様に定義できる。

曲DG代数の曲率元 h は、曲DG加群Mに対して左スカラー倍により作用して、その作用は次数2のM上の{自己}作用素となる。(h・-):M→M[+2] を曲率作用素〈curvature operator〉と呼ぶ。ここで、-[+2] は、階付けの+2シフトを意味する。

最も重要な例は、(V, ∇) をコジュール接続層として、Ak := Ωk<End(V)> として定義される曲DG代数層。コジュール接続層 (V, ∇) のシュバレー/アイレンベルク半微分階付き加群層〈sDG加群層〉は、曲DG代数層A上の曲加群層になる。こうして、コジュール接続層から作られる階付き曲加群構造を、コジュール接続 (V, ∇) の標準曲微分階付き加群〈standard curved differential graded module | standard crvDGM | 標準曲DG加群〉と呼ぶ。

コジュール接続{層}?から標準曲DG加群を構成する手順を標準曲構成〈standard curved construction〉と呼ぶ。

  • 標準曲構成は、コジュール接続の圏から曲DG加群の圏への関手である。

標準曲構成関手は、双対とテンソル積に対しても良く振る舞うと予想している。標準曲構成関手(SCCと略記)と、シュバレー/アイレンベルク関手(CEと略記)がどう関連するのか? カルタン計算(カルタン微分計算系はいいぞ - 檜山正幸のキマイラ飼育記 (はてなBlog))とどう関係するのか?