体Kを係数域とする多項式環を K[x] と書く。不定元xの名前は問題ではない。K K[x] という対応は、Pol1:Field→CRng という関手となる。Fieldの射は体の拡大だと思ってよいので、K⊆L に対して、Pol1(K⊆L):K[x]→L[x] in CRng は、係数拡大に伴う環の埋め込み操作になる。
上記の操作は、体上の可換環のインデックス付き圏 CRng[-] を使ったほうがいいかも知れない。∫CRng[-] →Field がファイブレーションになる。このファイブレーションのセクションとしてPol1がある。
それはそうとして、例えば多項式 x2 + 1 は、係数が1と0だけなので、どんな体上でも解釈可能となる。例えば (x2 + 1)∈Z2[x], (x2 + 1)∈R[x] 。だが、Z2⊆R という体の拡大があるわけではない。同じ目ための多項式が複数の多項式環で解釈可能なのは、あくまで見た目の問題。
という話があるのだけど、「見た目が同じ」ことと「構造的に埋め込める」ことは違う、ということを説明するのが難しい。見た目による判断のほうがはるかにやさしく、構造による判断は難しいから。
- (x2 + 1) と (y2 + 1) は見た目が違うのはやさしい事実。
- (x2 + 1) と (y2 + 1) は同じ、とみなすのは少し難しい。
- (x2 + 1) in F2[x] と (y2 + 1) in R[x] が違うのは難しい。
見た目が違うが同じことは分数以来難しい。見た目が同じで違うことは、関数と式とかで経験があればよいが、その経験も期待できない。要素を所属集合付きで考える(値を型付きで考える)のが難しいのだろう。
また、構文的表現とそのデノテーションの違いも難しい。