新ERモデル

スピヴァック・モデルとの違いは:

  1. アンビエント圏に集合圏ではなくて、関係の2-圏を使う。
  2. 関係2-圏の2-射は、関係の変更〈mutation〉。
  3. 関係と変更の2-圏を s2RelMu と書く。

図式はストリング図かエリア図を使う。エリア図の場合:

  • ノード: 変更〈mutation〉
  • ワイヤー: 関係〈relation〉
  • エリア: 集合

ストリング図では、

  • ノード: 関係
  • ワイヤー: 集合

基本集合(対象生成元)を2種に分ける。

  1. ドメイン
  2. 母集合〈population〉

他に、基本関係と基本関数。基本関数は、関数的関係であるだけでなくて、転置が出来ないとする。

関係に適用できる演算は:

  1. 直積
  2. 部分結合
  3. 転置
  4. 左カリー化/左反カリー化
  5. 右カリー化/右反カリー化

転置〈ダガーオペレーション〉を持つコンパクト閉圏〈ダガーコンパクト閉圏〉になる。直積に関してモノイド圏で、結合律子、単位律子を持つ。

コンパクト論理のシーケント計算が使える。

ドメインも母集合も変更という概念はない。変更できるのは関係に限られる。変更に適用できる演算は:

  1. 直積
  2. 縦結合
  3. 横結合

カリー化と変更の関係もなんかあるだろう。

テーブルは、I→A1, ..., An というプロファイルを持つ、各Aiドメイン集合である関係。非常に特殊な関係がテーブル。

I→母集合 というプロファイルを持つ関係を実体と呼ぶ。実体も特別な関係。

ドメインの直積をタプル空間と呼ぶ。ドメイン自体とユニット・ドメインもタプル空間とする。母集合はタプル空間ではない。母集合が混じった直積もタプル空間ではない。

実体のターゲット集合は母集合なので、テーブルではない。テーブルのターゲット集合は平坦タプル空間である必要がある。

実体をテーブルにするには、実体の主キーを使う。実体と主キーを結合するとテーブルになる。

テーブルの転置のプロファイルを持つ関係をコテーブル〈余テーブル〉と呼ぶ。タプル空間の恒等関係から作ったコテーブルは、《ジョイン》の定義に使う。

基本集合(《ドメイン》と母集合)と基本関係、基本関数、主キーから作られたストリング図を、関係図式〈relation diagram〉という。関係がテーブルなら、テーブル図式〈table diagram〉と呼ぶ。図式の代わりにテキスト表現〈式〉を使った場合は、関係式〈関係表現式〉、テーブル式〈テーブル表現式〉と呼ぶ。

ドメイン》、母集合、基本関係、基本関数、主キーから生成される圏を、ERスキーマΣから生成されたER圏  {\mathcal ER}(Σ) とする。ER圏の射(関係図式)とそのテーブル化の組をテーブルスキーマと呼ぶ。テーブルスキーマの有限集合がデータベーススキーマ

データベーススキーマからテーブル演算で生成される圏もどきを、テーブル系と呼ぶ。ER圏をテーブル系にどの程度写せるかが主要な課題。また、ER圏のインスタン/モデル/状態が考えられるから、状態と変更を考慮することができる。