フランツ流の独立性は、射影を持つモノイド圏においてスパンに対して定義される性質。スパンの独立性は、モノイド積と射影を使って定義される。
それに対して、シンプソンの独立性は圏のマルチスパンに対して定義されるが、最初から独立なマルチスパンの族が定義され、その族の性質を公理化する。
C内のマルチスパンのクラスIに対して、次の性質を考える。
- インデックスセットの全単射に対する安定性: インデックスセットを同型な集合に取り替えたものもIに入る。
- インデックスセットの単射に対する安定性: インデックスセットの部分集合に同型な集合に取り替えたものもIに入る。
- インデックスセットの全射に対する安定性: インデックスセットの商集合に同型な集合に取り替えたものもIに入る。
全単射で安定なマルチスパンのクラスMが次の性質を持つとき、マルチ圏と呼ぶ。
- 単一恒等射のスパンはMに入る。
- スパンのグラフティング結合に対して閉じている。
独立構造は、マルチスパンのクラスIで:
- Iは単射に対して安定である。
- Iはマルチ圏を構成する。(恒等と結合がある)
- 任意のシングルトンスパンはIに入る。
フランツの独立性から、シンプソンの独立性を構成できるだろう。シンプソン独立性は、モノイド積を前提にしないので、シンプソン独立性からフランツ独立性は構成できない。
独立性の構成時には、フランツ流に定義して、命題の証明にはシンプソン流を使うのが良さそうだ。
対称モノイド圏がCD圏〈Copy-Discard圏〉であることは圏論的に定義できる。CDはモノイド積と破棄射を備えているから、破棄射を使って射影を構成できる。つまり、射影付きモノイド圏になる。この射影構造によりフランツ独立性が定義できて、結果としてシンプソン独立性も定義できる。
- CD圏には、標準的なシンプソン独立構造が入る。