↑記事とだいたい同じことだが、自分で使う用語をもう一度まとめておく。
Qはアルファベット(形式言語理論の用語)で、その要素はシンボルと呼ぶ。シンボルのn-タプルからなる集合はQnと書ける。タプルを、ブロック〈block〉、ベクトル〈vector〉とも呼ぶ。したがって、Qnは、タプル空間/ブロック空間/ベクトル空間である。ただし、ベクトル/ベクトル空間は、線形構造を仮定しているときに使う。
線形ブロックコード〈LBC | linear block code〉または単に線形コード〈LC | linear code〉とは、アルファベットQと C⊆Qn の組で:
- アルファベットQが有限体である。ベクトル空間の係数体〈スカラー体〉となる。
- Qnは、体Q上のn次元ベクトル空間である。標準フレームを持ち、それは意味があるので、フレーム付きベクトル空間である。
- C⊆Qnは、k次元部分ベクトル空間である。
- Qn 上には、最大径がnになるハミング距離δが入っている。距離はノルム距離である必要はない。距離は線形構造と同調はしてない。ベクトル空間が作用する一様空間側に距離が入っていると思うのがよい。
有限体上のベクトル空間が一様に作用する(つまりアフィン構造的)距離空間とその部分集合が話題となる。ベクトル空間とアフィン空間(アフィン構造の台空間)を同一視するが、ほんとはよくない。置換群とその主等質空間、置換のケメニー重さと順位付けのケメニー距離を考えよ。
ケメニー構造 | アフィン構造 |
---|---|
置換群 | ベクトル空間 |
順位付け | 記号列〈記号タプル〉 |
置換作用 | 平行移動 |
ケメニー重さ | ハミング重さ |
ケメニー距離 | ハミング距離 |
群上の重さを使って、主等質空間に距離を入れている。アフィン構造の台空間の基点を固定してしまえば、台空間と作用する群を同一視できる。
線形コードのクラスを L-Cq(n, k, d) と書く。
- q = car(Q)
- n = dim(Qn)
- k = dim(C)
- d = mindist(C)
Cの要素を語〈word〉と呼ぶ。Qn\C の要素を非語〈nonword〉と呼ぶ。q元・n-タプル(Qnの要素)は、語か非語のどちらかになる。
語 c∈C に対して、距離閉球 B(c, s) = {x∈Qn | δ(x, c) ≦ s} を、語cのs-近傍〈s-neighbourhood〉と呼ぶ。s-近傍は、s個のシンボルの誤りまでを含む閉球。0-近傍は誤りがまったくない状態。t-近傍はt-誤りにより揺らぐ範囲を表す。
次の等式表現を誤りパターン式〈error pattern expression〉と呼ぶ。
- y = c + e
ここで、
- cは送出語〈transmitted codeword〉
- eは通信路で乗ったエラー
- yは受信タプル〈received {tuple | vector | block}〉
受信タプルを受信語と呼ぶのはダメ。語の定義と矛盾する。