多様体上の無限小近傍と流れジャーム

S⊆M を閉集合とする。OS(M) をSを含む開集合の集合とする。ここに次に同値関係を入れる。

  • U ~ V :⇔ ∃W∈OS(M).( W⊆U かつ W⊆V )

この同値類をSの無限小近傍と呼ぶ。

S上の関数ジャームは、無限小近傍で定義された関数と考える。

多様体閉集合の組 (M, S) と多様体Nに対して、Sの無限小近傍で定義されたN値関数の全体を

  • CrGerm( (M, S), N)

と書く。

ジャーム概念を使って、流れのジャームを定義する。

(M×R, M×{0}) は多様体閉集合のペアになる。次が流れジャームの空間。

  • CGerm( (M×R, M×{0}), M)

φを流れジャームの代表元とすると、φは、M×{0}の開近傍で定義されているから、U⊆M と ε>0 による φU,ε:U×(-ε, ε)→M という写像の族で表現できる。

次の同型があるだろう。

  • X(M) ←→ CGerm( (M×R, M×{0}), M)

右向きの対応は、

  • Flow:X(M) → CGerm( (M×R, M×{0}), M)

左向きは、

  • Velo:CGerm( (M×R, M×{0}), M)→X(M)

それぞれ、

  • ベクトル場が生成する流れ Flow(X)∈CGerm( (M×R, M×{0}), M)
  • 流れジャームの速度ベクトル場 Velo(φ)∈X(M)

マクロな流れは、微分同型変換(自己可逆換位)の空間への時区間からの写像。なので、微分同型変換空間の曲線になる。この曲線の一点での接ベクトルが、流れ{ジャーム}?の速度接ベクトル場。

微分同型変換群が無限次元リー群で、流れの速度接ベクトル場が無限次元リー環。ヤコビ・リー括弧は、接ベクトル場のリー括弧=リー微分

  • 運動のパーティクル形式 : 速度ベクトル = 運動の流れ形式 : 速度ベクトル場

したがって、曲線の基準時〈一点〉微分演算子  \left. \frac{d}{dt} \right|_{t=0} と、流れの基準時速度場演算子  \left. \frac{\partial}{\partial t} \right|_{t=0} は類似の演算子