「(コピー) ゲージ理論はじめるかも」への注釈

13年以上前2008-02-06の記事のコピーへの現時点〈2021-06-15〉での注釈。

茂木/伊藤『微分幾何ゲージ理論』のまえがき(P.2)に翻訳表が載っているのが非常に助かる。

写真がある。

特に注意すべきは:

  1. ゲージ群とゲージ変換群が違うものであること。
  2. ゲージ場という用語が、ゲージポテンシャル(の場)と場の強さ(フィールド・ストレングス)のどっちか曖昧なこと。
  3. 位相因子が接続の平行移動であることにはビックリ。

「ゲージ群=ゲージ変換群」とする人もいる(例: Lawrence Breen)。

G-主バンドル P に関して:

用法 G Aut(P) ひとこと
用法 1 構造群 ゲージ変換群 安全な用法
用法 2 ゲージ群 ゲージ変換群 構造群=ゲージ群
用法 3 構造群 ゲージ群 たぶん少数派

ある理論の「ゲージ場」というとき、「ゲージ場=ゲージポテンシャル」のほうが多いような気もする。サンプル数が少ないので確たることは分からないけど。

ゲージ群=構造群は、たとえばU(1), SO(3)などが考えられる。ゲージ群は行列群の部分群だと思ってよいことが多い。よって、ゲージは底空間の局所座標(の領域)と行列の直積と、主束のチャンク(π-1(U)の形の部分空間)との対応を与える。

「行列の直積」じゃなくて「行列群との直積」。具体例を出すと、

\xymatrix{
  {P\supseteq \pi^{-1}(U)} \ar[r]^-{\cong} \ar[d]^{\pi}
  &{V\times SO(r) \subset{\bf R}^n\times {\bf R}^{r\times r} }  \ar[d]^{\pi_1}
\\
  {M\supseteq U}\ar[r]^{x}
  &{V \subseteq{\bf R}^n}
}

フィールド・ストレングスをゲージ場と呼ぶと、ゲージ場はゲージポテンシャルから微分操作で作られる。ゲージ場は、ゲージ(主束座標)の場ではない! 曲率形式の場である。ゲージ変換は、主束の自己同型束の切断のことで、主束に作用し、無限次元リー群を構成する。ゲージ群は有限次元で、ゲージ変換群は無限次元。

補足事項: 主束の自己同型束の切断=主束の自己同型。

ゲージポテンシャルは、無限次元リー群であるゲージ変換群の接空間となる無限次元リー代数(自己同型束の無限小版である随伴束)に値を持つ1-形式となる。フィールド・ストレングスは2-形式である。電磁気の場合、電磁ポテンシャルがゲージポテンシャル(1形式)、電磁場がフィールド・ストレングス(2形式)となる。たぶん。

「無限次元リー代数(自己同型束の無限小版である随伴束)に値を持つ」はウソ。「有限次元リー群であるゲージ群=構造群の接空間となる有限次元リー代数(自己同型束の無限小版である随伴束)に値を持つ1-形式」。1-形式の空間は無限次元だが、1-形式の値の空間は有限次元。