ニュートン風特殊相対論

特殊相対論は、一般相対論の特殊ケースとみるか、ニュートン力学の変更〈リバイス〉とみるかで定式化が違ってくる。できるだけニュートン寄せで定式化すると、絶対的なニュートン計時を、たくさんあって任意に選べるミンコフスキー計時に変更して、バンドルの族(計時ごとに違うバンドル)を考えればよさそうだ。

ニュートン ミンコフスキー
ニュートン時空 ミンコフスキー時空
The ニュートン計時 ミンコフスキー計時の族
The 空間的ファイバー 空間的ファイバー
空間的部分ベクトル空間 空間的補コーン(双コーンの外部)
未来半空間 未来コーン
過去半空間 過去コーン
ガリレイ・ゲージ ミンコフスキー・ゲージ(?)
ガリレイ変換群 パッシブ・ポアンカレ変換群

ニュートン時空では、計時によるファイバー構造(ストライプ・スライス構造〈葉層構造〉)が先験的に与えられている。ミンコフスキー時空では、各点でのミンコフスキー・コーン構造が先験的に与えられているが、ファイバー構造は無限にあり任意に選べる。

葉層構造の観点からは:

  1. ニュートン時空では、自明な葉層構造がひとつだけ固定されている。その葉層構造は、計時関数の逆像葉層になる。葉=ファイバーとベクトルの直交性は定義されない。
  2. ミンコフスキー時空では、各点の接空間に特異葉層構造が与えられている。全空間(アフィン空間)に大域的葉層があるわけではない。

物理的な制約は:

  1. ニュートン時空では、特定点(事象点)からの物理的可達領域は、開半空間である。全空間に時間順序(コーザリティ)が決まる。
  2. ミンコフスキー時空では、特定点(事象点)からの物理的可達領域は、開半コーンである。全空間に時間順序(コーザリティ)が決まる。

大きな違いは、ニュートン時空は唯一の決まったバンドル構造を持つのに対して、ミンコフスキー時空は無限個のバンドル構造を持つ。したがって、ゲージ自由度は:

  1. どのバンドル構造を選ぶかの自由度
  2. 底空間である時間空間のゲージの選び方の自由度
  3. 選んだファイバー構造におけるファイバーフレームの選び方の自由度

これらのゲージ自由度の全体は、ポアンカレ群〈アフィン・ローレンツ群〉で表現できるのだと思う。ゲージ群とゲージ変換群が区別しにくい。ゲージ群ではなくて、ゲージ自由度(=選択肢)の集合内を繋ぐゲージ変換群(あるいは亜群)を最初から考えることになる。

おまけ:「自由度」の用法

  • 自由度=選択肢 自由度の空間は選択肢の空間
  • 自由度=次元 選択肢の空間の幾何的次元=パラメータの個数

ゲージ自由度は、ゲージの選択肢と選択肢の空間の両方の意味。ゲージ自由度の空間の点はゲージで、ゲージ変換は、ゲージ自由度の空間に作用する亜群射。ストリップを固定して、そのストリップ上のゲージ自由度の空間とゲージ変換の亜群がある。

なるほど、ゲージ変換亜群でストリップ(=底空間の自明化開集合)を動かすと、亜群スタックになるなー。