特殊相対論は、一般相対論の特殊ケースとみるか、ニュートン力学の変更〈リバイス〉とみるかで定式化が違ってくる。できるだけニュートン寄せで定式化すると、絶対的なニュートン計時を、たくさんあって任意に選べるミンコフスキー計時に変更して、バンドルの族(計時ごとに違うバンドル)を考えればよさそうだ。
ニュートン | ミンコフスキー |
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ニュートン時空 | ミンコフスキー時空 |
The ニュートン計時 | ミンコフスキー計時の族 |
The 空間的ファイバー | 空間的ファイバー |
空間的部分ベクトル空間 | 空間的補コーン(双コーンの外部) |
未来半空間 | 未来コーン |
過去半空間 | 過去コーン |
ガリレイ・ゲージ | ミンコフスキー・ゲージ(?) |
ガリレイ変換群 | パッシブ・ポアンカレ変換群 |
ニュートン時空では、計時によるファイバー構造(ストライプ・スライス構造〈葉層構造〉)が先験的に与えられている。ミンコフスキー時空では、各点でのミンコフスキー・コーン構造が先験的に与えられているが、ファイバー構造は無限にあり任意に選べる。
葉層構造の観点からは:
- ニュートン時空では、自明な葉層構造がひとつだけ固定されている。その葉層構造は、計時関数の逆像葉層になる。葉=ファイバーとベクトルの直交性は定義されない。
- ミンコフスキー時空では、各点の接空間に特異葉層構造が与えられている。全空間(アフィン空間)に大域的葉層があるわけではない。
物理的な制約は:
- ニュートン時空では、特定点(事象点)からの物理的可達領域は、開半空間である。全空間に時間順序(コーザリティ)が決まる。
- ミンコフスキー時空では、特定点(事象点)からの物理的可達領域は、開半コーンである。全空間に時間順序(コーザリティ)が決まる。
大きな違いは、ニュートン時空は唯一の決まったバンドル構造を持つのに対して、ミンコフスキー時空は無限個のバンドル構造を持つ。したがって、ゲージ自由度は:
- どのバンドル構造を選ぶかの自由度
- 底空間である時間空間のゲージの選び方の自由度
- 選んだファイバー構造におけるファイバーフレームの選び方の自由度
これらのゲージ自由度の全体は、ポアンカレ群〈アフィン・ローレンツ群〉で表現できるのだと思う。ゲージ群とゲージ変換群が区別しにくい。ゲージ群ではなくて、ゲージ自由度(=選択肢)の集合内を繋ぐゲージ変換群(あるいは亜群)を最初から考えることになる。
おまけ:「自由度」の用法
- 自由度=選択肢 自由度の空間は選択肢の空間
- 自由度=次元 選択肢の空間の幾何的次元=パラメータの個数
ゲージ自由度は、ゲージの選択肢と選択肢の空間の両方の意味。ゲージ自由度の空間の点はゲージで、ゲージ変換は、ゲージ自由度の空間に作用する亜群射。ストリップを固定して、そのストリップ上のゲージ自由度の空間とゲージ変換の亜群がある。
なるほど、ゲージ変換亜群でストリップ(=底空間の自明化開集合)を動かすと、亜群スタックになるなー。