エーレスマン接続にはエーレスマン分裂完全列、主接続〈カルタン接続〉にはアティヤ分裂完全列が付随するようだ。
π:E→M を任意のファイバーバンドルとして、エーレスマン接続があるとする。すると、ベクトルバンドルの完全列
- 0→Ker(Tπ)→TE→TM→0
ができる。が、これは、底空間が異なる。底空間を分母の形で添えると:
- (0/E)→(Ker(Tπ)/E)→(TE/E)→(TM/M)→(0/M)
TM/M〈TM over M〉をE上に引き戻せば、
- (0/E)→(Ker(Tπ)/E)→(TE/E)→(π#TM/E)→(0/E)
これが分裂 A:(π#TM/E)→(TE/E) を持てば、Aがエーレスマン接続を定義する。したがって、
- Aで分裂する完全列 = エーレスマン接続
となる。大域セクション関手、局所セクション関手で完全列を加群{層}?の圏に送る。ただし、Ker(Tπ)をVとする。
- 0→ΓE(V)→ΓE(TE)→ΓE(π#TM)→0
- 0→ℓΓE(V)→ℓΓE(TE)→ℓΓE(π#TM)→0
あるいは、
- 0→ΓE(V)→ΓE(TE)→π-|(ΓM(TM))→0
- 0→ℓΓE(V)→ℓΓE(TE)→π-|(ℓΓM(TM))→0
アティヤ分裂完全列のほうは、ちょっとよく分かってない。けど、書いておく。
まず、P→M が主バンドルのとき、ad(P) というM上のベクトルバンドルを作らねばならない。LをGのリー代数とすると、リー群Gの随伴表現 ad:G→Aut(L) がある。これはリー群Gの有限次元ベクトル空間gによる表現なので、主バンドルと一緒にして同伴ベクトルバンドルがM上に構成できる、これを ad(P)→M とする。ファイバーはL(Gのリー代数の台ベクトル空間)である。
次に、P上のベクトル場でG作用で不変なものを考える。このためには、Γ(TP) にGが作用していると考えなくてはならない。あるいは、空間PへのG作用から、TP→TP を誘導して、TPにもGが作用している状況を作る。TPにGが作用しているのなら、Γ(TP)への作用も構成できるだろう。
s∈Γ(TP) に対して、g∈G の作用を sg とする。∀g∈G. sg = s ならば、sはG不変なセクションとなる。おそらく、G不変なセクションの空間 G-Γ(TP) は、G作用での商空間 P/G 上のセクション空間 Γ(P/G) に埋め込めるはず。
- G-Γ(TP) ⊆ ΓP/G(π#TP)
ここで、π#TP はベクトルバンドルの前送りだが、これが作れるか? がよく分からない。なんか、作れない気がする。
さらに、P/G M だとして、G-Γ(TP) をM上のセクション空間と考える。そうして、
- 0→Γ(ad(P))→G-Γ(TP)→Γ(TM)→0
という、M上のセクション空間の完全列ができる。
Γ(ad(P))とΓ(TP)はいいけど、G-Γ(TP)をM上のセクション空間だと思うところがだいぶ怪しい。ここの構成は、ベクトルバンドルとは離れて、完全に加群レベルで議論すべきなのではないだろうか? いや、そもそもM上ではなくてP上で考えるべきか?
ともかくも、分裂 A:Γ(TM)→G-Γ(TP) とすると、これが主接続を定義する。重要なことは、Aがリー代数の準同型になるかは保証されず、「リー代数準同型からの隔たり」が曲率で測れること。もし、曲率ゼロなら、リー代数準同型となるので、フロベニウスの定理からP上に葉層ができる。
おそらくアティヤ分裂完全列と関係する概念で、アティヤ・リー亜代数がある。P上に距離ゼロの接続=平坦接続があることと、P上に葉層があることは同値だから、葉層のリー亜代数を考えることができる、これがアティヤ・リー亜代数。平坦接続から作られる亜代数なので、微分インフラとして使える。微分インフラは曲率なしでド・ラーム複体〈Z階付きDG代数〉とド・ラーム・コホモロジーが作れないといけない。非平坦接続だと、ド・ラーム・コホモロジーは作れない。