多様体のクライン幾何

クラインのエルランゲン・プログラム:

教授就任の講演だったのは知ってたが、1872年(150年前)、23歳だってぇー。

不変量云々はいいとして、「群Gが空間Sに作用している状況」を考える、という方針に注目する。この状況をクライン幾何〈Klein geometry〉と呼ぶ。Gをクライン幾何の構造群〈structure group〉と呼ぶ。

  1. 大域クライン幾何: GがSに作用している状況
  2. 大域線形クライン幾何: S = V がベクトル空間、Gの線形表現
  3. 無限小線形クライン幾何: 接ベクトル空間 V = TpM ごとに線形クライン幾何=群Gの表現
  4. 無限小クライン幾何: ファイバー Fp ごとにクライン幾何=群GのFp表現、例:円周バンドル=U(1)-主バンドル
  5. 混合クライン幾何: 各点で無限小クライン幾何があり、底空間にも大域クライン幾何がある。無限小構造群と大域構造群の絡まり具合が問題になる。

大域構造群は、得体のしれない無限次元群になることがある。多くの場合、大域構造群 G = Diff(M) だが、Diff(M) はよくわからない巨大な群。Diff(M) のリー代数として、Γ(TM) = Ξ(M) が登場する。

無限小構造群、または内部構造群は有限次元リー群のときが多い。したがって、混合クライン幾何の無限小・大域の絡み合いは、有限次元リー群と無限小リー代数との絡み合いの形を取ることが多い。

多様体のクライン幾何=混合クライン幾何の発展として、無限小(あるいは局所)構造群の代わりに、構造亜群、あるいは構造∞亜群への拡張がある。

幾何空間と幾何量/幾何構造の2つのモノに群類似物(亜郡/亜代数、その高次版)が作用していて、作用のあいだの関係、関係のあいだの関係、…… などが問題になる。驚くべきことに、150年前の23歳の青年が言っていたことは今でも有効だ