ファイバーバンドルとファイバー付き圏、引き戻し公式

ファイバーバンドルとファイバー付き圏の類似性は思っていたよりずっと精密で本質的なようだ。$`\newcommand{\cat}[1]{ \mathcal{#1} }
\newcommand{\hyp}{ \text{-} }
%`$

  • ファイバーバンドル ←→ ファイバー付き圏
  • 底空間 ←→ 底圏
  • インデックス付き空間 ←→ インデックス付き圏
  • (インデックス付き空間の)集約 ←→ グロタンディーク構成

問題は、インデックス付き圏に対応するインデックス付き空間の定義。これはパスと平行移動が絡むだろう。グロタンディーク構成に対応する「インデックス付き空間の集約〈aggregation〉」をどうするか?


グロタンディーク構成に関して、積分の変数変換に対応する引き戻し公式が予想できる。

まず、ファイバー積の意味での引き戻しは次の図式で定義される。

$`\xymatrix{
{?} \ar@{.>}[d] \ar@{.>}[r]
&{\cat{E}} \ar[d]
\\
{\cat{C}} \ar[r]^{F}
&{\cat{B}}
}
`$

この図を引き戻し図にするような $`? \to \cat{C}`$ (上図では点線矢印)を次のように書く。

$` F^\star(\cat{E} \to \cat{B}) = (? \to \cat{C}) `$

一方、インデックス付き圏 $`B:\cat{B} \to {\bf CAT}`$ を通常の関手でプレ結合引き戻しすることを $`F^*(B)`$ と書く。この記法で、

$` F^\star(\int_\cat{D} B \to \cat{D}) \cong (\int_\cat{C} F^*(B) \to \cat{C})`$

これがグロタンディーク構成〈ファイバー積分〉の引き戻し公式。具体例は:

$`\xymatrix{
{?} \ar@{.>}[d] \ar@{.>}[r]
&{\int_{\bf Rng} {\bf Mod}[-]} \ar[d]
\\
{\bf Man} \ar[r]^{C^\infty}
&{{\bf Rng}(-)}
}
`$

以前の記事 グロタンディーク/フビニの定理 - (新) 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編 のフビニの定理は:

$`
{\displaystyle
\int_{\cat{A}}\left(\lambda\,a\in \cat{A}. \int_{F(a)} G(a, \hyp) \right)
\cong
\int_{\int_{\cat{A}} F} G
}
`$

そして、依存型理論と依存シーケンス引数形式とも密接に関わる。グロタンディーク・ファイバー積分は圏論的シグマ型を与える。セクション関手の圏が圏論的パイ型、部分セクション/エキストラセクションの圏が、パイ型のプレ結合引き戻しを与える。