気付いた!
考えた時系列にだいたい沿って書く; ゲージ群G、ファイバーFの自明バンドルの圏を考える。バンドル射は底写像を考えるが底写像は可逆とする。この状況で、バンドル射は可逆となるので、自明バンドルの圏は亜群となる。これを (G, F)-自明バンドル亜群と呼ぶ。自明バンドル亜群の射を、ゲージ変換と呼ぶことがある -- 「ゲージ変換とは何か?」に対するひとつの答ではある。
U, Vなどをユークリッド空間の開集合として、それらの微分同型の圏は亜群となる。この圏を底空間と底写像〈底射〉の圏とする、(G. F)-自明バンドルの圏を考える。この圏の対象は、ユークリッド自明バンドルと呼んでいいだろう。一時的に、ユークリッド自明バンドルの射をゲージ変換と呼ぶ。
いったん、ファイバーFを忘れてしまうと、ゲージ変換は、ゲージ群Gへの関数と底写像のペアで表される。このペア (g, φ) をヤコビ・ペアと呼ぶ。理由は、Jfを関数のヤコビアンとして (Jf, f) がヤコビ・ペアの典型例だから。
ヤコビ・ペアの計算術がヤコビ計算〈Jacobian calculus〉。典型例は、合成関数の微分公式〈チェーンルール〉と逆関数の微分公式。
ゲージ変換でファイバーを忘れると、ゲージ関数がヤコビアン(ヤコビ・ペアの片割れ)になる。ゲージ群Gのゲージ関数の全体を、イタリック文字で、
- G[U] := C∞(U, G)
と書く。点ごとの積でG[U]は群になる。これをゲージ関数群〈gauge function group | group of gauge functions〉と呼ぶ。ゲージ関数群とゲージ変換群は、同一視可能な状況もあるが、違うものだ。混同してはいけない!
バンドルの亜群の射をゲージ変換と呼んでいるのだが、この圏の計算は、ゲージ関数をヤコビアンとするヤコビ・ペアの計算になる。このとき、ヤコビ計算からはファイバーが落とされている。逆に言えば、ヤコビ計算に好きなようにファイバーをアタッチできる。
- ヤコビ・ペアの圏 = (可逆バンドル射の圏 - ファイバー)
自明バンドルと可逆バンドル射の圏は、ストリップを固定したゲージとトランジションの圏でもある。
さて、ゲージ関数と底写像からなるヤコビ・ペアの計算をしていて、実はインデックス付き圏から作ったグロタンディーク平坦化圏での計算をしていることに気付いた。
自明バンドルとゲージ変換の場合は、底圏〈インデクシング圏〉の対象Uに対するG[U]が群だが、多少一般化して、モノイド M[U] が対応しているとする。モノイドは圏だから、引き戻し関手〈リダクト関手 | 再イデキシング関手〉があれば、インデックス付き圏の一種であるインデックス付きモノイドになる。
一般のインデックス付き圏からのグロタンディーク平坦化の手順をそのまま実行すると、ヤコビ計算が得られる。
インデックス付き圏とグロタンディーク平坦化の例は:
- インデックス付き集合と、要素の圏。この場合は余インデックス付き圏。
- インデックス付き順序集合と、ホーア・トリプルの圏
- インデックス付きモノイドと、ヤコビ・ペアの圏