微分計算の作り直し

多様体上では、「変数xに関する微分」は意味を持つ。が、「変数」は「関数」の意味で、「多様体上の座標成分関数xに対する微分」が意味を持つ。

  • 変数=座標成分関数

 \frac{\partial}{\partial x^i} という記号はダメな記号だ。もう使わないほうがいい。 \frac{d}{d x^i} でよい。\partialの使い所は限定的で:

  1. 標準偏微分作用素  \partial_{i/n}:C(Rn)→C(Rn) として使う。
  2. 座標写像〈チャート写像〉x に対する第i導分  \partial x_i \partial x_i = \frac{d}{d x^i}、これは分数を避けるためだけ。
  3. 接ベクトル場加群の横フレーム  {\bf \partial x} = [\partial x_i ]_{i\in 1..n} = [ \frac{d}{d x^i} ]_{i\in 1..n} = {\bf \frac{d}{d x} }

二番、三番は、分数表記を嫌った略記なので、使いたくなければ使う必要はない。

微分演算子微分作用素〉に関しては

  1. D : フレシェ微分(値は線形写像
  2.  \partial_{i/n} : 標準偏微分(値は実数)
  3. J : ヤコビ行列(値は行列)

この三種の微分作用素がどういう関係かを調べればよい。

微分作用素 導関数 微分係数
D:Cr(X, W)→:Cr-1(X, L(V,W)) Df:X→L(V, W) Df(a)∈L(V, W)
i:Cr(Rn)→:Cr-1(Rn) if:RnR if(a)∈R
J:Cr(U, Rm)→:Cr-1(U, Mat(n,m)) Jf:U→Mat(n, m) Jf(a)∈Mat(n, m)

多様体上で、座標写像〈チャート写像〉xが関与するときは、

  1. i の代わりに ∂xi = d/dxi を使う。
  2. x;pi を xi と書く。
  3. ωi の代わりに dxi を使う。

Rn上では、∂iの双対基底をωiと書く。

  • ωj(∂i) = δji