ゲージ理論はじめるかも - (保存用) 檜山正幸のキマイラ飼育記 メモ編 のコピー。
[追記 date="2021-06-15"]
このブログエントリーは、2008-02-06にメモ編に書いた記事 https://m-hiyama-memo.hatenablog.jp/entry/20080206/1202284837 を11年後の 2019-04-24 にコピー(もとを削除したのでむしろ移動)したもの。過去エントリーの書き換えはしない方針(例えば https://m-hiyama.hatenablog.com/entry/2020/08/07/193718 の冒頭参照)なので、本文内の取り消し線と補足追記をします。
Mさんの調査とご指摘によると、「ゲージ変換群」という言葉は物理では使わないということなので取り消し。「状態関数」も取り消し。
- 「ゲージ」「ゲージ変換」が物理由来なので、「ゲージ変換群」も物理用語かと思っていたけど、違うとのこと。歴史的事情は調べてないが、数学者の造語なのかも知れない。
- 「状態関数」は僕の無知・誤解。熱力学の用語で、この文脈とは関係なかった。
今日書いた内容的注釈は https://m-hiyama-memo.hatenablog.com/entry/2021/06/15/141858 。
[/追記]
茂木/伊藤『微分幾何とゲージ理論』のまえがき(P.2)に翻訳表が載っているのが非常に助かる。
特に注意すべきは:
- ゲージ群とゲージ変換群が違うものであること。
- ゲージ場という用語が、ゲージポテンシャル(の場)と場の強さ(フィールド・ストレングス)のどっちか曖昧なこと。
- 位相因子が接続の平行移動であることにはビックリ。
物理 | 微分幾何 |
---|---|
ゲージタイプ | 主ファイバーバンドル(主束) |
ゲージ | 主束の局所自明化(主束座標) |
ゲージ群 | 主束の構造群 |
ゲージ変換 |
束自己同型写像、(束座標の)変換関数 |
ゲージポテンシャル | 主束の接続(係数) |
フィールド・ストレングス | 主束の曲率(形式) |
波動関数 |
同伴ベクトル束の切断 |
位相因子 | 平行移動 |
ゲージ群=構造群は、たとえばU(1), SO(3)などが考えられる。ゲージ群は行列群の部分群だと思ってよいことが多い。よって、ゲージは底空間の局所座標(の領域)と行列の直積と、主束のチャンク(π-1(U)の形の部分空間)との対応を与える。
フィールド・ストレングスをゲージ場と呼ぶと、ゲージ場はゲージポテンシャルから微分操作で作られる。ゲージ場は、ゲージ(主束座標)の場ではない! 曲率形式の場である。ゲージ変換は、主束の自己同型束の切断のことで、主束に作用し、無限次元リー群を構成する。ゲージ群は有限次元で、ゲージ変換群は無限次元。
ゲージポテンシャルは、無限次元リー群であるゲージ変換群の接空間となる無限次元リー代数(自己同型束の無限小版である随伴束)に値を持つ1-形式となる。フィールド・ストレングスは2-形式である。電磁気の場合、電磁ポテンシャルがゲージポテンシャル(1形式)、電磁場がフィールド・ストレングス(2形式)となる。たぶん。