逆〈inverse〉とか反転〈inversion〉というより転置〈transposition〉だろうな。行列の転置に一番近いから。離散有限のケースで言えば、マルコフ行列の転置。
単にマルコフ行列を形式的に転置しただけではマルコフ行列にならない。X, Yを有限集合として、マルコフ行列を X→Y の形に書く。マルコフ行列は、X上の確率単体(=マルコフ縦ベクトルの集合)からY上の確率単体へのアフィン線形写像(の表現)だとみなせる。
マルコフ行列 X→Y を同時確率分布とみなしたいが、規格化因子がないと同時確率分布にならない。そこで、X上のマルコフベクトル=確率分布pを使って規格化〈確率化 | マルコフ化〉する。つまり、マルコフ行列 X→Y とX上のマルコフベクトルの組 (f, p) があると、対応する同時確率分布 f~p が構成できる。
周辺分布が p, q であるような同時確率分布 a:X→Y はXとYに関して対称なので、形式的に転置した at:Y→X もまた同時確率分布になる。同時確率分布aから作られるマルコフ行列をa→とすると、ベイズ転置τは:
- (f, p)τ := ((f~p)t)→
(-)t→ を (-)← と書くと:
- (f, p)τ := (f~p)←
ただし、行列のサイズが変わるかも知れない。